2024年上半期、WEBのお客様はどう動いた?

2024年上半期、WEBのお客様はどう動いた?

今回は2024年上半期(4月~9月)のWEB上における戸建関連キーワードの検索数や全国ビルダーのホームページ実績をもとに、この半年間のWEB集客の動向を検証します。

【検索数】主要キーワードすべて前年割れお客様の絶対数減少を色濃く反映
Googleが提供するサービス「GoogleTrends」のデータをもとに、戸建関連の主要キーワード「一戸建て」「注文住宅」「分譲住宅」のGoogle検索数の動向を集計してみました。最も多いボリュームの大きい「一戸建て」は4~9月すべての月で前年同月比▲20%前後の減少。

2021年10月から実に36ヶ月間にわたって前年同月を上回っていません。「注文住宅」は昨年11月から今年5月までは前年同月を上回っていたものの、6月からは4ヶ月連続で前年割れに転じています。「分譲住宅」も5・6月に前年同月を上回ったが、その他の月は前年割れとなりました。必ずしも「検索数=見込み顧客数」ではないとは言え、WEB上で住宅関連の情報を積極的に探しているお客様の絶対数は減少傾向が続いているとみて良いと思います。

【アクセス数】年初から増加傾向が続く主要因はWEB広告によるお客様減のカバー
一方で、ビルダー各社ホームページの4~9月のアクセス数は、全ての月で前年同月を上回った。4~5月は前年比+20%以上、6月以降も前年比+15%内外で推移しています。前年同月比でのアクセス増は2023年6月から16か月間にわたり継続しています。検索数の減少に反してアクセス数が増加を続けていける最大の要因は、WEB広告経由のアクセスが大きく伸びていること。WEB広告経由のアクセス数はここ数年にわたって緩やかな増加傾向が続いていましたが、今年1月に急増し、この傾向が現在に至るまで続いています。多くのビルダーがWEB広告の予算を大幅に増額したのは想像に難しくないです。

一方、広告によらない自然検索を経由したアクセス数は、前年比で若干減少しています。情報を検索するお客様の数が減少しているのであれば、こちらの推移の方がより自然と言えます。つまり、今年に入ってからのアクセス数の大幅な伸びは、お客様の動きが活発化したものではなく、「お客様の減少によるアクセス減をWEB広告によってカバーしている」状態であると考えるのが妥当でしょう。

【反響数】前年割れも直近3ヶ月は増加プラス組・マイナス組の二極化がより顕著に
最後に、最もきになる反響数の実績です。6ヶ月トータルでの反響数は前年よりやや減少。4~6月の前半3ヶ月が前年割れとなり、特に反響の伸びやすい4~5月において前年比15%前後のマイナスとなりました。7月以降プラスに転じたものの、前年戦のマイナスを取り返すには至っていません。
一方で、会社別で実績を見ると、ここ数年の傾向である「反響プラス組・マイナス組の二極化」がより鮮明になっています。プラス組が約4割・マイナス組が約6割だが、前年比で横ばいの会社は皆無であり、ほぼ全ての会社が10%以上の増加もしくは減少となっています。プラス組・マイナス組それぞれの社内事情は分からないものの、WEB集客に対する取り組みの度合いが集客数を大きく左右する状態であることは間違いないでしょう。

【総括】アクセス⇒反響率の改善に打ち手 プラス組ビルダーも現状維持はリスク
お客様の減少に対し、WEB広告の投資拡大による集客底上げを図るも、思うように反響を獲得できていない。
そうなると、優先的に取り組みべきは「アクセス→反響率の改善」。WEB広告側では出稿媒体と予算配分の見直し・ターゲット設定の精緻化・広告クリエイティブの見直しなどが効果的な施策でしょう。
一方で、WEB広告からのリンク先である自社ホームページ側でも、掲載情報のブラッシュアップ・反響に至る動線の見直しなどを実施し、せっかくのアクセスを無駄にしないための改善が必要です。また、「プラス組・マイナス組の二極化」もここ2年ほど変わっていない。マイナス組に危機感が必要であることは言うまでもないのですが、現状ではプラス組のビルダーも、反響の維持・拡大に向けた取り組みを怠ることで、マイナス組に転じるリスクが常にあることを肝に銘じなければなりません。

                           ※株式会社住宅産業研究所「TACT」参照