YouTubeの本格運用を始める前に気を付けること
1.動画制作・運用の体制を整える
YouTubeの運用は、InstagramやFacebookなど他のSNSに比べて格段に多くの労力が必要となります。企画立案、動画撮影、編集、サムネイル制作、投稿作業、アナリティクス分析など、一本の動画を制作するために必要な作業は多岐にわたります。そのため、適切な運用チームの体制を整えずに見切り発車で動画活用をスタートすると、担当スタッフにかかる業務の負担が増大し、運用を挫折するリスクが高まります。
改善策としては、経営陣やマーケティングの責任者がYouTube運用の負担をしっかりと認識し、専門チームの構築や動画制作会社などの外部パートナーとの連携を検討することがおおすすめです。出演者の選定も重要です。特に家づくりのお役立ち情報を提供するハウツー動画において、最も重要なのは出演者と言っても過言ではありません。動画やSNSに馴染みがある若手社員を出演させるという選択肢もありますが、経験が乏しく、家づくりの知識やノウハウに自信がないスタッフの動画は再生数が伸びないでしょう。
知識が乏しいスタッフは、説明をうまく行うことが難しいため、動画の撮影や編集において余計な工数がかかってしまい、その分、制作コストが増大してしまうという恐れもあります。スムーズに説明できるスタッフが動画に出演すれば、撮影や編集に要する工数を、YouTubeアナリティクスの分析や、新しい企画の打合せなどといった、その他のより重要な業務に割り当てることができるため、制作・分析・改善といった運用における好循環を実現できるようになります。
住宅会社のYouTube活用では、経営者や経営層、トップ営業マンなどが出演することで、動画の再生数が伸びやすい傾向にあります。会社の顔として信頼性と説得力があり、視聴者に良い印象と安心感を与えることができます。一般的にYouTube動画には若い女性を起用した方が良いのではないかと言われることがありますが、住宅会社の場合では実際に会社を代表するスタッフが動画に出演し、集客を担っていくことが重要と言えます。住宅会社のYouTube活用の主な目的は、集客と売上の向上であり、そのためには最も営業成績が良いスタッフや経営に近いスタッフが最適な主演者と言えます。
2.訴求したい強みと活用の目的を明確にする
YouTubeチャンネルを開始する前には、自社の訴求したい強みを明確にすることが重要となります。例えば、ローコストの企画住宅から、デザインに凝ったハイスペックな注文住宅までをアピールするチャンネルやコンテンツにしてしまうと、最終的に何が強みなのかが不明瞭になり、専門性を伝えやすいYouTubeの良さを生かしきれません。ハウツー動画にしても、ルームツアーにしても、「何にでも対応できる」という点をアピールするよりも、特定の設備や技術、デザイン、性能、会社の理念など、明確な強みを持つ住宅会社の方がYouTube運用において成功につながりやすいと言えるでしょう。
そもそもYouTubeを運用する明確な目的を設定することも不可欠です。自社の認知度を向上するためか、より良い家づくりを啓蒙するためか、動画経由での資料請求や来場を増やすためか、目的が不明確な場合、自社のYouTubeチャンネルやコンテンツの方向性が定まらず、視聴者を継続的に引き付けることが難しくなります。YouTubeでの動画視聴から来場までつなげることを目的とするのであれば、自社のランディングページへの誘導や資料請求の促進、LINE公式アカウントを通じた情報提供など、自社の動画を見た視聴者が次に取るべき行動を明確に示しておくことが必要です。
視聴者が次に取る行動を事前に設計しておかないと、視聴者は動画を見るだけで完結してしまい、Youubeをきっかけとした問合せにつなげることができなくなってしまいます。実務担当者のモチベーションを維持するためにも、YouTube活用の目的を設定して共有した上で、動画経由での資料請求や来場者数など、数値化できる指標を用いたKPIを決めておくことが重要です。
3.視聴者の反応を分析しコンテンツを改善する
YouTubeを運用する目的と自社が訴求したい強みを明確にし、動画の企画・制作・投稿を回し始めたら、視聴者の反応を分析し、それに基づいて動画コンテンツを改善していくことが、集客や売上の向上につなげるためには、非常に重要なポイントとなります。YouTubeでは「TouTubeスタジオ」という分析面内の「Youtubeアナリティクス」で、様々な指標の分析ができます。この分析ツールを活用することなく、ただ単に動画をアップロードし続けるだけでは、成果にはなかなかつながらない。
ここで分析できる内容は多岐にわたりますが、動画活用を始めたばかりで、これから自社のYouTubeチャンネルを伸ばしていきたいと考えている場合には、まずは、視聴維持率、サムネイルのクリック率、インプレッション数、総再生時間、動画への流入経路などの項目に絞って見ていくと良いでしょう。これらのデータを基にして、動画コンテンツの内容や、撮影・投稿のスケジュールといった計画の改善を行っていくと良いでしょう。さらに言えば、YouTubeもWEB戦略の一環として、自社サイトやWEB広告、SNSの運用実績と合わせて分析し、改善していくことが望ましいです。
※株式会社住宅産業研究所「TACT」参照